last modified: 2005/09/19
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新人賞受賞作家エッセイ
井上 剛
このエッセイ、すでに締め切りを8日も過ぎているのだが、いちおう書いてみる。 この文章がアナタの目に触れているという事実は、SF作家クラブの度量の広さの証左である。
しかしまあ、エッセイのネタになるようなことは何もない。 朝早くから夜遅くまでクソッタレな職場で労働に勤しんでいる。 役職は課長だが、人手が足りないので係長とヒラ社員も兼ねているような状態だ。 おまけに社外向けの肩書きは部長になっている(セコい会社がよく使う手だ)。 さらに傘下店の店長まで兼ねている。 極めて謙虚に言わせてもらえば、少なくとも今の1.5倍ぐらいの給料をもらう権利はあると思う。
数多の労働の中で僕がいちばん気に入っているのは、店長業務である。 労働内容も面白いが、店内に常にBGMが流れているのが嬉しい。 好きでも何でもない流行の和製ポピュラーソングばかりの有線放送なのだが、それでも音楽がある環境というのは心地よいものだ。
ところがこのBGM、ずっと聴いていると一日に同じ曲が何度も流れてくることが多い。 最近多いのが『タッチ』である。 一日に4回ぐらい聴かされる。 店ばかりではなく、昼飯を食いに近所の定食屋へ行くとそこでもまた流れている。 実写映画化に合わせてカバーしたものらしい。 てっきり主演女優が歌っているものだと思っていたら、どうも違うらしい。 別にどっちでもいいのだが。
それにしても映画にしろ歌にしろ、よくもまあ20年も昔のネタが今でも使い物になるものだと感心する。 思うに、現代日本文化におけるたいていの分野において、スタンダードとなるネタは80年代までにほとんど出尽くしてしまったのではないだろうか。 現在流行っている新曲が20年後にカバーされるとは、とうてい思えないのである。
というようなことを考えながら、毎日労働に忙殺されている。 おしまい。
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